血尿、それは突然に
※タイトルから分かる通り汚い話なので自己責任で。
最初に違和感を覚えたのはある夏の日のトイレだった。
いつも通りパンツをおろし、いつも通り排尿する。
もう終わろうかという時に下腹部にきゅーっとした感覚が走った。
痛みはないがまるで内蔵を軽く掴まれたような、くすぐったい感覚である。
初めての感覚に戸惑いを覚えたが、ちょうどその時、生理が近かったので、それの前兆でお腹の調子が悪いのかと解釈した。
その次の日、トイレをしてティッシュで拭うとうっすら血が付いている。
パンツは汚れてなかったのでそのまま取り急ぎナプキンを取り付け(これはまったくの余談だが、パンツのことをパンティと呼ぶやつは高確率でおっさんである)事なきを得た。
しかしその何時間たっても一向に出血していない。
これはおかしい。
しかもなんだかトイレが近い気がする。
トイレにいって、部屋に戻ってきたら既にトイレに行きたい。下手したらパンツを上げた瞬間トイレに行きたい。ここトイレなのに。
そして排尿のたびに起きるお腹のきゅーっとした感覚は収まらない。
婦人科系の病気だったら怖いとネットで調べた結果、どうやら膀胱炎っぽいことが判明。
なるほどあの血も生理ではなく血尿だったのか。私の中で血尿というものはおっさんのイメージだったのでややショックを受けた。ぜひ芸能界は血尿アイドルというようなジャンルをつくってこのイメージを払拭してほしい。なんなら私がパイオニアになっても構わない。
しかしそれが判明したのは23時頃。当然近くに空いてる病院などない。
水を飲んで菌を排出することが効果的!と書かれたページに縋りながら水をがぶ飲みした結果、尿意が酷くなった。騙された。
痛みはないのが幸いであったがトイレから離れられないのはつらい。
夜中に何度も起きてトイレに行く。
土下座の状態で高めのクッションに頭をのせる(猫のごめん寝のようなポーズ)と尿意が少しおさまるというもう二度と使わないライフハックを手に入れる。しかしそれでも眠れない。
時々出る血尿に不安を感じながらこれ以上症状が進まないよう祈りながら朝を迎えた。
朝。
とりあえず景気付けにシャドバのグランプリで4勝して気持ちよくなってから近くの内科に駆け込んだ。
受付の美人なお姉さんにしどろもどろながらも症状を説明すると、痛みはないかと心配されてアドを得た。なおここでは病気になっている時点でディスアドであるという点については考慮しないものとする。
「ではこれに尿を取ってくださいね〜」
渡された検尿コップに尿を注ぐと色がグロい。錆びた鉄みたいな色をしている上に血の塊みたいなのが混じっている。
検尿置き場にゾン尿(注釈:ゾンビの尿のようなもの。ゾンビが排泄するかは定かではない)を提出しなければならないという辱め。これにはドMの私も興奮を通り越して死にたくなった。
診察室に呼ばれて、お医者さんの立派な髭をガン見しながら問診を受けた。
正直問診中も尿意のせいで話はほとんど聞いてなかったが、気がつくと髭医者にここら辺ズキズキしない?と声をかけられながら腰を殴られていた。なんで?
出血性膀胱炎と診断を受け、もし酷くなるようだったら別の病気の可能性あるから泌尿器科行った方がいいという言葉を背に診察室を出た。
待合室に戻ると、待たされてキレ気味のお爺さんに、さっきの美しく優しいお姉さんが同じくキレ気味で対応してて漏らしそうになるが、ここはかろうじて耐え。
しかし、薬局にトイレがないという追撃を受ける。この歳になって薬局内で漏らすのがマシか、外で漏らすのがマシか、真剣に考えることになるとは思わなかった。
なんとか帰宅し、処方された薬を飲むと、半日も経たずに異常な尿意は治まって血尿も出なくなった。お腹の感覚も消えた。
医学の進歩に圧倒的感謝。
膀胱炎になったはっきりとした原因は分からないが、この一連の出来事が起きる前、風邪にかかり発熱鼻水咳のトリプルコンボをくらって3日ほど寝込んでいたので免疫力が下がっていたものと思われる。
膀胱炎ってわりとギャグ的に扱われることが多い病気だけれど、普通にきつかったし、何もない日だったからよかったものの外せない用事が入ってたらと思うと普通にゾッとした。
みんな身体は大事にしてくれよな。