免許合宿からの脱出 プロローグ



御歳20歳(3年目)の私、まだ自動車免許を持っていない。



大体の人が高校3年生〜大学1年生に取りがちな免許をこの歳になるまで取得していなかった理由は様々だが、今住んでいる場所が大きな駅近くということもあり、車がなくて困ったことがないというのが一番大きい要因だと思う。

ただし、私も大人。普段は乗らなくても免許のひとつやふたつぐらいは持って、いざという時ブンブン車を乗り回せるようになっておくべきだろうという気持ちは常に頭の中にあった。

その反面、ワンチャンこのまま免許を持たざるものとして生きていけるんじゃねぇ??むしろ免許持ってたら友だちとの旅行で運転手の頭数に入れられちゃうし、持ってない方が一周回ってアドなんじゃない???てか、私、ゴーカート下手だし、とも思っていた。



そう、『思っていた』のだ。



遡るは就活が終わり、内定者同士の顔合わせを兼ねた説明会でのことである。

事務的な説明の後、親睦を深めるという理由で食事とお酒が振舞われた。
1テーブルに最低1人は先輩社員がつき、気軽に会社のこと、転勤やそれに伴う生活の変化などについても非常に質問しやすい雰囲気がつくられていた。

そこで女性の先輩社員にほんの軽い気持ちで質問した。



「やっぱり、生活する上で車って必要ですかね?」



「あ〜〜、うん。事業所がだいたい辺鄙なところにあって、住む場所もその近くになるから、どうしても必要になるね。人間の生活がしたければ」




なるほど。




頭の中に、内定を承諾する前に全事業所をGoogle マップで調べたあの日が走馬灯のように浮かんできた。
言葉を選ばずにいうと、確かにどこの事業所もだいたいド田舎にあった。
それでも現代日本、なんとかバスとか電車でいけるんじゃない?それで生きていきたい。今更免許なんて取りたくない。運転したくない……。



「バスとか電車とか、本数少ないしそもそも乗り場まで遠いから、もし免許ないなら今のうちに取っておきなよ。買い物できる場所、ほんと無いから」




追撃。




自動車を運転できない私が今現在取れる交通手段は徒歩、自転車、公共交通機関しかない。



あ、これ詰んだわ。分かりやすく詰んだわ。


免許取らなきゃいけないやつだわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!


でもでも今更通いなんて無理無理無理のかたつむり!大学4年間で学んだことはサボりの技術!
まじめに自動車学校に通うなんてできるわけない!!!
合宿じゃ!合宿で強制的に免許を取るのじゃ!!!!



というわけで、同じゼミでまだ免許を持っていない子を捕まえて、約2週間の免許合宿に行くことになった。

どこの自動車学校に行くかは、大学生協でおばちゃんに30秒で決められて予約取られた。
「ここね!評判いいから!電話するね!!」とゴリ押されたが結局どの辺りが評判いいのか分からなかった。もう少し検討する時間をくれよ。


友だちと私、お互いのスケジュールとゼミとの兼ね合いの結果、1月下旬のがにゅオフが終わった後かつ、2月上旬にある神速オフ前までという非常にタイトなスケジュールになった。

ただし最短で卒業すればちゃんと間に合う。

2月は繁忙期であり卒延すると学校側も困る。

合宿はよほどのことがない限り最短で卒業させてくれるとYahoo!知恵袋も言っていた。大丈夫だろう。




これが自らを苦しめることになるとは、この時の私には知る由もなかった……。



免許合宿からの脱出 前編 へ続く。
免許合宿からの脱出 前編 - 私は今日も最高にかわいい



2週間を1つの記事にするにはあまりにも長くなりすぎるため、いくつかに分割して書くことにする。
途中で飽きたりしないよう頑張るので、ぜひ最後まで読んでくれたら嬉しい。